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フェンシング世界ベテラン選手権に行ってきました

World Veteran Fencing Championships 参戦記録+諸々

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反省(その1)

オランダさんは「知らないほうがいい」と言いましたが、
調べておくべきでした。

帰国してから、ヨーロッパベテラン選手権の結果をネットで調べてみました。

プールで対戦した5人中3人が出場していました。
スウエーデンの選手が最上位で
オランダさんは中堅どころ
私が唯一勝ったスロバキアの選手は全敗していました。
ポーランドの選手は参加していませんでした。
(カナダの選手も当然参加していません。)

10/4、組み合わせは試合の3時間以上前(6時)に発表されていましたし、
私はその前に食事を済ませています。時間は十分にありました。
情報を事前に整理しておけば、相手の戦績くらいは事前に把握出来たはずです。
予選通過のために誰には必ず勝たなければいけないのか、誰には負けてもしょうがないのか(相手が格上という前提での試合運びをするべきか)を事前に把握するべきでした。そのためのネタはネットに普通に落ちていました。

本大会の参加者は日本にいる間に公式ホームページで発表されています。
参加者の情報を調べる時間は十分にありました。
たとえば、オランダフェンシング協会のページでは
数年前からのオランダさんの成績がすべて乗っています。
十分、情報を集めることができたはずです。

対戦相手のことを調べもせず、観光情報を調べていました。
これからは、公式ページで参加者が発表され次第、情報を整理のうえ、現地入りです。
観光情報は後回しです。
(・・・・・とは言え、実は、自分自身を盛り上げるためにヴァルナの観光情報は
国内予選開始前から集めていました。来年もそうします。)


それにしてもヨーロッパベテラン選手権は年代ごとに40歳からで、
エペの40代、50代はそれぞれ140人以上の参加です。
ヨーロッパの選手は40代からヨーロッパ内で同世代と対戦して、50代になるとそれにアメリカ、日本、カナダから最大4人ずつ+南米やオセアニアから多くて数名が加わって世界ベテラン選手権を戦うわけですね。経験値が違いますね。
重ね重ね、経験値を少しでも埋めるための情報収集はしておくべきでした。



決勝トーナメント(その3)

私の最終成績は60位でした。
予選60位通過の選手が予選5位の選手に勝ったため、ひとつ順位を下げました。

他の日本人選手は2人、決勝トーナメントに残っています。
その内のひとりは私の初戦の相手だったカナダの選手に勝ち、ベスト32です。もう一方もトーナメント初戦を勝ち上がり、ベスト32です。残念ながら、そこまででした。

オランダさんも2戦目で、優勝した選手に当たり、ベスト32敗退です。

オランダさん「今日の内にオランダに帰ります。」
私「私はもう少しヴァルナに残ります。また、来年会いましょう。」
オランダさん「来年は南の島という噂だから無理かも。でも、会えるといいですね。」と言って、早々に会場を出ていきます。

試合前夜ですので昨晩は酒を飲んでいません。ビールを飲みたくなりました。売店で買ってひとり飲み始めます。日本円で100円程度てす。

決勝トーナメント(その2)

試合がはじまります。
私はここでひとつミスをしました。

相手を確認せずに試合に臨んでしまいました。
ドイツの選手であることだけは確認しましたが、予選の戦績や順位を確認しませんでした。
漠然と弱いもの同士が戦う「小山」の気分でいました。
実際は60名参加のベスト64トーナメント。予選1位から4位が一回戦シード。予選5位と60位が当たります。予選59位の私の相手は当然、6位の選手です。

試合が開始し、最初の得点が入るまでに50秒程度掛かりました。
クードゥブルです。双方に1点です。
この時、感じました。「こいつ、出てくる時、膝を突ける」と。

膝へのコントルは数ヶ月間、練習してきました。私の師匠が教えて下さるフェンシングは基本的には「先後の先」を取るフェンシングです。
ですが、膝へのコントルは最初からこれをやると決めて、出す技です。(一般論でそうだというのではなく、教えて頂いたやり方がその様なやり方だという意味です。)
「先前の先(対の先)」を取りに行く技です。
教えられて、違和感のあった技ですが国内予選でも、数回使っています。

決まりました。一点目から数秒後です。
2-1でリードです。

で、私の初めてのベテラン選手権はここでほぼ終わります。

直後に前腕への攻撃を矢継ぎ早に決められ、リードされます。それで切れてしまったと言うか、経験の浅さが出てしまいます。まだ試合時間が十分あるにも関わらず、まるで残り10秒のような攻撃を繰り返し、10-5で惨敗です。

60代の日本人選手が声をかけて下さいます。「2分半で10本は取られ過ぎだよ。もっと時間を懸けて楽しまないと。」と。「楽しまないと」を「頭使わないと」に読み替えるとより良く意味が通じます。


決勝トーナメント(その1)

今回の世界ベテランでは、各カテゴリー・各種目とも参加者の約80%が決勝トーナメントに進みます。



たとえばサッカーの試合では、予選リーグは各グループ内の順位で決勝進出チームを決めますよね。
私が学生のころはフェンシングも同じでした。当時は5人プールの3名上がりといった形式で
各プール内の順位で予選通過者が決まっていました。

今は(と言ってもかなり以前からですが)、
①勝率
②「突き数」-「被突き数」
③突き数
と言った要素で参加者全員を並べて順位をつけます。
ですのでプール内で最下位であっても予選落ちするとは限りません。

まず、勝率が最優先されます。
7人プール(6試合)で1勝の選手は勝率16.7%です。
私のプールは1名棄権したので1勝の勝率は20%です。

0勝の選手は当然、私より下です。
7人プールで1勝の選手も私より下です。

0勝の選手が4人
7人プールで1勝の選手は8人でした。
私と同じ6人プールで1勝は私を含めて6人でした。

73人中60人上がりですので
6人プールで1勝の6人の中からひとりが予選落ちです。

私は下から2番目59位で予選通過です。

60位の選手と61の選手の差は「突き数」-「被突き数」、2本です。

私と60位の選手との差は「突き数」-「被突き数」、1本。
私と58位の選手との差は「突き数」-「被突き数」は同じで、突き数差が1本でした。

58位の選手は私に負けたスロバキアの選手でした。
オランダさんは30位、ポーランド選手はその1つ上、29位
スウエーデン選手は1位上がりです。
カナダ選手は48位です。

今年で5年目の参加、1勝するのに3年掛かった日本人選手が声を掛けてきます。
「一年目で上がれてよかった。ひとり棄権でラッキーだったね。」と。
「棄権してなかったら2勝していましたよ。」と返します。
もし、スペインの選手が棄権していなかったら、カナダ選手との試合も2戦目になって
戦い方が違っていたかも、という思いが頭を過ぎります。

なんであれ、qualifierです。ボーダーラインの上です。もう少し楽しめます。










予選プール(その6)

予選最後の試合です。

試合前にオランダさんが声を掛けてきます。
「いくつ勝っている?」
私は憮然として答えます。「zero」

オランダさんは私が2つくらいは勝っていると思っていたようです。
申し訳なさそうに「とにかく頑張れ」みたいなことを言います。

言われなくても・・・・・・

スロバキアの選手が相手です。
開始30秒で不用意に突かれます。
日本で戦ってきた相手より強いとは思いません。
1分後に1本取り返します。
で、そのままタイムアップです。
私も相手も決め手がありません。

プライオリティはまたまた私です。
良いのか悪いのか判りません。
プライオリティはいらない気分でしたが、3連荘です。

30秒程度でクードゥブル((両突き)。
その後、残り10秒を切って相手が仕掛けてきます。
相手の剣身が私のすねを叩きます。
でも剣先は・・・空を斬っています。

私もたまに同じことをやります。
打つ手が無くなって、最後に相手の脚を狙って・・・、肩口にコントル喰らう・・。
でも、今回はそれをやったのは私ではなく対戦相手です。

私は相手の空いている肩口にまっすぐ剣を伸ばします。
世界ベテラン最初の一勝が転がり込んできました。

隣のピストの日本人選手が右手を突き上げてくれています。
オランダさんが「こんぐらぁ」って言って来ます。
ビデオを撮ってくださっていた方が「勝ったとこ、ちゃんと撮ったよ」と微笑んでいます。

「50歳で世界一になる」数年前に設定した目標は遠いままです。
決勝トーナメントに出れるかどうかは微妙です。
でもとにかく勝ちました。

予選プール(その5)

いよいよ後が無くなってきます。
次はポーランドの選手です。

まず、私の剣が上向きに湾曲していると主審にアピールしてきます。
主審は私の剣を手で曲げるしぐさをしますが、まあどうでもいいって感じです。
実際、ポーランド野郎の剣のほうが下向きに湾曲しています。

先にも書きましたが、このポーランド選手は腹が出ています。
負けたくありません。

2分10秒の間、お互いに点が入りません。思いがけず残り50秒でフリッキングを決められてしまします。
私は主審に私のポイント(剣先のことです。日本ではポイントと言いますが英語圏ではTipと呼ぶこともあります。)の確認を要求します。
問題なく反応しました。

5-1で負けます。残りの50秒間は切れてしまいました。最悪です。

次にこの選手と対戦することがあったら必ず冷静にボコリます。
今回は完敗です。自分に負けた気分です。


 

予選プール(その4)

オランダさんとの対戦です。

結果から書くと、私の負けです。
3-3でタイムアップからの1本勝負で負けました。

私は今回の予選5試合中3試合が3分間で5本に至らずタイムアップからの1本勝負になっています。
オランダさんは予選5試合の内、4試合がタイムアップになっています。
私と同じような戦い方をする選手です。

オランダさんがリードして、私が追いつく展開です。
思い通りのアタックとパラッドリポステを決めることはできました。
最後に取られた1本を除けば内容は悪くなかったと思います。

とは言え、最後の1本が最悪でした。
タイムアップ後、プライオリティは私につきました。

オランダさんはすぐさま、攻撃を仕掛けてきます。
ここまでの3分間では見せなかった速さです。全く想定していなかったスピードでした。私のコントルは伸びきらず、あっさりと負けます。

もし、過去に複数回対戦ずみであれば、十分に対応可能で、「ありがとう。いただきます。ごちそうさま」って攻撃、簡単にコントルを決めることができる攻撃だったかもしれません。
でも、想定外でした。
「こんなに早いアタックを隠していたんだ・・・。完敗・・」というのがその瞬間の素直な気持ちでした。

対戦後、「今日は、僕がラッキーだったよ」と言って来ます。
「ラッキーじゃなくて、実力だよ。あんな早いアタックを持っていたなんて、思いもしなかった」と答えます。正確には、英語でそういったつもりですが、どこまで伝わったかは判りません。

勝たなければいけない相手にまた負けてしまいました。





予選プール(その3)

次の相手はスウェーデンのビッグネームさんです。
私より15cm以上背が高いです。

私は女子供には強いです。
自分より5cm以上背が低い相手には負ける気がしません。
「上から前腕を狙う。外したら肩を狙う。相手が深い攻撃をしてきたら、パレカルトオポジション」
これが私の基本パターンです。

で、自分より背の高い相手に同じことをやられたら・・・負けます。・・・でも・・・一応、それに対する対策は考えて来ました。

・・・次元が違いました。
ビッグネームさんは上腕など狙っていません。
私の「右手の親指の付け根」を狙ってきます。
外側からフリッキング(振込み)気味に狙ったり、フリッキングなしの大きな角度のアンギュレールで狙ってきます。私はリーチの差から同じ角度では狙えません。

私のガルドを潜り抜け、親指が突かれます。
手の指だけではありません。足も・・親指を突かれます。よけたつもりが早いです。

10年以上前、フルーレの世界選手権予選に出たことがあります。それが私が参加した最後のフルーレの試合です。
その時、日本のトップ選手にフリッキングを5本くらいました。その時の突かれた感覚は今でも覚えています。
スウェーデンのビッグネームさんのフリッキングはそれよりも軽い突きです。まったく痛くありません。
エペでフルーレよりも軽いフリッキングです。

簡単に4-0になります。
泣きたくなります。これだけの敗北感は記憶にありません。
本当に泣きそうです。

4-0から最後の1本を狙って、比較的安直に胸を突きにきました。コントルシスを返します。決まりました。
4-1です。
少しだけ希望が沸きます。「このレベルの選手でも気を抜いた攻撃なら対処できる」と。

次に明らかにドウーブル(両突き)狙いの攻撃を仕掛けてきました。思惑通り、ドウーブルで
終了です。

結果的にはこのスウェーデンの選手は予選1位で勝ちあがります。
予選プールでは私が2本取りましたが他の選手は0もしくは1本で負けています。
「4-0からのあの安直な攻撃を引き出せれば、こいつに勝てる可能性は0ではない」と
辛うじて思えます。

ビデオを撮って下さっている方から、前の試合より硬さが取れていると声を掛けていただきました。
少し、気が楽になります。本当にありがとうございました。

次こそは勝ちたいと思います。

次はオランダさんです。身長は一緒です。

        
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